2021年04月より,COVID-19(SARS-CoV-2)のワクチン接種が一般の方にも順次開始されております. ワクチンの詳細につきましては, ファイザー社の新型コロナワクチンについて – 厚生労働省 をご確認ください.
有害事象と副作用,相関関係と因果関係を混同されている方もおられるかもしれません. 有害事象は原因との関係は問いません.
今回のワクチンでヒトへの投与として新しい成分は,mRNA(トジナメラン),ALC-0159(ポリエチレングリコールを含むPEG修飾脂質),ALC-0315(陽イオン脂質),DSPC(細胞膜などを構成するリン脂質の一種) の様です. 後者 3つの脂質は,細胞への mRNA の移動,SARS-CoV-2 表面タンパク質の合成にいずれも必要なものです. 報道で心配されているアナフィラキシーについては PEG との因果関係が疑われていますが,確定はしていません.
( CDC COVID-19 mRNA ワクチン情報 ,
Mariana C. C. et al., Maintaining Safety with SARS-CoV-2 Vaccines. N Engl J Med. 2021 Feb 18;384(7):643-649. doi: 10.1056/NEJMra2035343. Epub 2020 Dec 30.)
ポリエチレングリコールは化粧品の他,抗生物質,注射製剤(美容系含む)など多くに使用されており,累積暴露量の多い女性で男性より発症症例が多くなっている原因の一つと予測されています.
また,アナフィラキシーはその多くはアレルギー 1型と考えられていますが,運動やストレス(精神的なものの他,光,音,熱など)でも原因となる化学伝達物質が放出されてしまうことにより起こりえます. 余り心配しないでいて貰った方が良いかもしれません.
アナフィラキシーは,その殆どが30分以内に起こり,かつ治療できるものなので,接種後その病院で30分ほど待機し指示に従ってもらえれば,命に関わる可能性は非常に低いです. ベータ遮断薬内服,喘息の既往や,過去のアナフィラキシー発症歴がある方は発症リスクや発症時の対応に関わるので,問診票で必ず情報提供してください.